君は何を目指していますか。私たちはNo.1駄々を目指します。
凛として駄々
浴衣に着替えてデッキに出ると
肌に当たる潮風が心地良い
何より、笑顔の貴方が隣にいる
それだけで至福の時間
手を繋ぎカウントダウンを始める
打ち上げられた最初の花火
「ハートの花火 ・・・ 初めて見た」
花火を見つめる貴方の瞳がキラキラ輝いてた
その瞳があまりにも綺麗でドキっとして
花火より貴方に見惚れてた(花火が霞む)
「ハートの中にも沢山の色が入ってるんですね」
取りあえず返事しない叱られる
(観てないだろうって)
最愛の姫はそういう所は容赦ない
「そう言えば、ディナー中お前の事見てる人が沢山いた
やっぱ、イケメンは違うよな」
「そう?貴方を見てる人の方が多かった気がするけど」
「頭大丈夫か?俺を見てたのはお前ぐらいだぞ
華やかなドレスのご婦人がいるご一行が
ずっと、お前の方を見てた」
マダムtepoのご一行だ ・・・ 確かに皆さん華やかだった
きっと、エスコートしてる相手を見てたんだろう
女性だったら今頃、母の耳に入って大騒ぎになってる
難しい事は考えない ・・・
今は2人の時間が一番だから
「貴方を見てたの ・・・ だって貴方が一番素敵だった」
「惚れた欲目だな ・・・ 一度眼科に行って診て貰え」
そう言って可笑しそうに笑う
今夜、何度目かのプロポーズをする
そう思ったら緊張してきた ・・・
繋いでいない手に汗が滲んでくるのが分かる
意を決して ・・・ プロポーズしたのに
返事は ・・・ やっぱりNOだった ・・・
今回は自信があった
ロマンチックなプロポーズだと思ったのに ・・・
やっぱり出端を挫かれたのが、いけなかった
がっくり肩を落とす俺に
次を楽しみにしてるといって笑う貴方
次はどこがいい?
海だから山かな
富士山が見える湖畔とか?
海外の古いお城の中とか?
最高のプロポーズを考えるから
次は『はい』って頷いてね
大きな音を立てて、最後の花火が上がり
『花火大会は終わりました
船は下船する人のために港に向かいます』
と、館内放送が入った
部屋に戻る人、ラウンジに向かう人
デッキに残る人
人の波が移動を始める
「ここプールが有んだな」
「ええ、何でもあります
ジムとかもあるみたいですから
それよりどうします、飲み直しますか?」
「夜はプールとかは入れないのかな?」
まさか入りたいの?
いやいや、ダメでしょそれは ・・・
「入りたいの?」
おぞおぞと訊ねると
嬉しそうに笑って頷いて
「船の上のプールなんて滅多に経験できないだろ
入れるなら入ってみたいなって思って
あ ・・・ でも水着がないか ・・・」
って、困った顔をする
「ちょっと待って、プールはダメでしょ!」
眉根を寄せて抗議の声
「なんで?」
「そりゃ ・・・ 貴方の水着姿を人に見せるなんて
絶対ダメです!」
貴方の裸は俺だけのものですよ
例え水着だとしても、人の目に触れさせたくない
貴方がジト目で俺を睨みつけて
「何でだよ!夏は海とかプールに行くだろうが
俺だけ入っちゃダメって
どんだけ理不尽なんだよ」
口を尖らせて剥れた顔をする
「理不尽って ・・・ そんな事はないです
貴方だけじゃないですから
俺も入りません、それなら文句ないでしょ?
どうしてもと言うなら
プライベートビーチのある南国に行きましょう」
飛行機で跳べばすぐです
「い や だ!明日船のプールに入る
絶対に は い る!
お前は部屋に居ろ
俺が入ってる所を見
なきゃ、気にならねぇだろう
わざわざ南国まで行く気はない」
いつになく意固地な貴方 ・・・
どうしてそこまでプールに拘るの?
「じゃあ、一緒に入ります」
プールサイドまでTシャツ着せていけば良いか ・・・
「ひとつ聞くけど
今後、俺は露天風呂とか旅館の大浴場もNGなのか」
「露天風呂ですか?別にいいですよ
それが付いている部屋を取れば大丈夫です
ただし、大浴場は ・・・ ぜったいNGです」
貴方のマッパを誰かに見せるって ・・・
考えただけで卒倒する ・・・ 絶対ダメ!
「はあ~ ・・・ なんでダメなんだ ・・・
減るものでもないのに ・・・」
大きなため息をついて歩き始めた
分かってないのは貴方なの
これ以上言っても無駄だと諦めたのか
「バーにでも行って飲むか?
なんせ、今回は全てタダだし ・・」
そう言って、俺の前を歩き始めた
「ちょっと待って、確認させて
プ~ルは入るの?」
背中に訊ねると、呆れ顔で振り向いて
「くど~い ・・・ 入るって言ったら入る」
って、駄々っ子のように答えた
「分かりました、一緒に入りましょう
水着が有るか、後で確認しますね」
それを聞いた貴方がニッコリ笑う
そこまで言い張るなら入りましょう
但し今宵、貴方の白い肌に
沢山の花びらを散らしますから
それでも入ると言うのなら
喜んでお付き合いします(笑)
「ゆっくり飲んだら、大人しく寝ような
部屋のベッドもツインだし ・・・
偶には別々も良いぞ(笑)
明日はプールだから」
貴方がニヤリと笑った
「そんな殺生な ・・・」
まさか透けて見えてたか?
「アハハ ・・・ その顔」
貴方が可笑しそうに声を立てて笑う
プールに入るよりも
甘い夜を過ごす方が最重要事項でしょ
貴方が俺の耳元で
「キスマーク付けないって約束できる?」
って悪戯っぽく訊ねた
「もちろん!」
「じゃあ ・・・後でゆっくりな ・・・」
その甘い声で体中が熱くなり始めた
俺はいつでも貴方の掌の上
貴方が側に居てくれたら
他には何もいらない
<Ssideおしまい>