本当は傷つきやすい観劇
まぁ様(朝夏まなとさん)の退団公演、「神々の土地 / クラシカルビジュー」、今日も行ってきました 今日も2回観劇。さすがに疲れてきました 初日から連続5公演観劇 私の新記録です。でも、見るとやっぱり素晴らしいので、入り込めてしまう。明日でひとまず遠征終了なのが寂しいです。
今日は念願叶って公演デザート「ショコラとフランボワーズムース」を食べることができました。昨日、幕間に並んだら、数人前のところで終了だったのです。今日は、11時公演の前に並んだら、私までで終了 ギリギリセーフでした。 味は、まあ想像どおりです。金の??がちりばめられて可愛かったです。
11時公演はB席中央だったのですが、後ろに若い男性2人が座っていたようです。彼らの会話が面白かった。お芝居が終わった時に、「難しい」「思ってたより高尚だった…」。そして、ショーが終わった時には「衣装がだんだん豪華になって、最後は小林幸子感がすごい。」と興奮気味でした。クスクス笑いそうになるのを1人こらえる私でした。
5回連続で見ていますが、お芝居の安定感がすごいです。アドリブがない作品だということもありますが、セリフの言い方や間、演技がほとんど毎回変わらないような気がする。初日からすごい完成度だったと思います。
演じている人の安定感、表現力も高いし、脚本と演出のクオリティもすごく高い。今の宙組でできる最高の作品を、と組子全員が全力で取り組んでいるのがよく分かります。帰りの阪急電車で、「神々の土地」のポスターを見ながら、「これはすごくいい作品ですよ、ぜひ見てください」と周りの乗客に話しかけたい衝動に駆られました。
登場人物たちの心情をストレートに会話にしたり説明したりしていないので、想像しないといけません。初日に見て、なんとなく不完全燃焼だったのはこの部分によるところが大きかったような気がします。例えば、 ドミトリー(まぁ様)とイリナ(うらら様)は愛し合っていますが、「愛している」という言葉は使ったことがありません。皇帝や、真風フェリックス、愛ちゃんラスプーチンが「愛しているのは誰だ」と迫ったとしても。
でも、表情や行動で、深く愛し合っていることが伝わるんです。愛し合っているけれど、「信念のために」「この国のために」と、全てを捨てることができない。切なくて切なくて…。゚(T^T)゚。 初日は泣けなかったけれど、2回目以降は毎回落涙です。
3時公演は、S席だったので、雪原でのドミトリーとイリナの別れの場面(ドミトリーは極刑同然のペルシャ戦線に赴き、イリナは革命必至のロシアに留まる。今生の別れです。)で、うらら様の?が濡れているのが見えました。「バレンシアの熱い花」みたいに泣きの演技じゃないんです。淡々と、「ここでお別れしましょう」などと進む別れの場面です。でも、素晴らしいんです…
まどかちゃんオリガに対しても、ドミトリーは「愛しているかと言われれば答えに迷うが、愛おしく思っているのは本当だ。君たちの皇帝一家を救うために君との結婚を決めたんだ。」などの言い訳は一切しません。オリガがラスプーチン暗殺から、皇帝を亡命させてドミトリーが皇帝になる計画を皇后に告げたと知っても、「そうか、オリガ…」とオリガを見つめるだけ。その心情を、表情でまぁ様は見せてくれるのです。
オリガにも葛藤はあったと思いますが、直接は語られません。ただ、暗殺者であり、皇帝を追放して皇帝になろうとしていた(フェリックスが主謀者であったとしても)ドミトリーを助けるように皇后に懇願することで、ドミトリーへの想いが分かります。ドミトリーを助けることが、民衆の気持ちに添い、皇帝一家が助かることになる、と説得する賢い皇女です。
皇后は受け入れず、オリガは母の想いと運命を受け入れることにします。それまでは皇后は頑なで嫌な人だとずっと思っていましたが、彼女なりに必死だったんだ、ということが私にも分かりました。皇后役の凛城きらさん、初の女役とのことですが物語を通して素晴らしい演技でした。まどかちゃんも上手でした。ここでも落涙です。
宝塚の作品は、主人公たちが「愛している」と心情を直接叫ぶものが多いので、ちょっと雰囲気が違うかもしれません。もちろんそれも大好きなのですが、この作品はしみじみと心に染みわたる名作だと思います。芸術的というか、クオリティが高いというか。好みはあると思いますが。
最後の、魂たちが神々の土地に戻って来る場面、みんな幸せそうなんです。ラスプーチンさえ笑顔。皇后も、妹であるエレナに笑いかけています。皇后の笑顔、ここで初めて見ました。生きている時はその人なりに一生懸命にだったのに、運命に翻弄された人たち。切ないし温かいラストです。そして、魂として再会するドミトリーとイリナ。美しいです…
さあ、明日はこの遠征最後の観劇。大学生の長男のチケットも勝手に取って一緒に見てもらうので、どんな感想を言ってくれるか楽しみです。世界史には疎いようなので、最低限の知識をレクチャーしておかないとです。感想が「難しい。」だけだったらちょっと残念ですものね。